産後ケアホテルをご存知でしょうか。東アジア諸国では、産後のママが、産科を退院した後、おおよそ一か月程の期間をケア施設で過ごすという文化があります。台湾や中国では、9割近くの方が利用されるそうです。
日本でも、数年前から関東中心に産後ケアホテルが立ち上がって人気を博しています。ネックは施設の設備を整えたり、専門職の職員を揃えるためのコストです。たんなる赤ちゃん預かり付きホテルではなく、ママが心身ともに癒される環境、健康と産後の滋養に留意した食事の提供、新生児や産後の身体についての不安や疑問へのアドバイスが受けられる必要があります。
そのため、産後ケアホテルは、宿泊料金に付加される食事、産後の心身のケア、24時間の新生児のお世話が含まれるため一泊の価格は高額です。平均で5-6万くらいはかかるので、一か月の連泊だと×30日で莫大な料金になってしまいます(^^;
では、台湾や中国は国家の補助があるのか?というと、そうでもなくて、でも若い夫婦にその高額の利用料を支払う経済的余裕はありませんから、親世代がそのためにプールしてある貯蓄から出してくれるパターンが多いと聞きました。結納金や結婚資金のように、急ではあっても予測できる出費と考えるわけですね。
我が国でも、実家にまだ50歳前後の元気な専業主婦のおばあちゃんがいて、ママと赤ちゃんをまるごと面倒を見てくれる。そんな状況が普通にあった時代がありましたが…今は、30代後半で出産するママが多くなり、実家の親は70代、そうでなければ両親ともに仕事が忙しくて面倒は見れないと言われることが多いように思います。
だから、「自宅で過ごします。夫(仕事あり)と二人で乗り切ります」とか言われると、あの夜も昼もない新生児のお世話に、ママが産後のボロボロの身体で向き合うことを想像して胸が痛くなるのです。
最近、数カ月~1年間の育休を取得するパパも増えてきましたが、ママを休ませてくれるスキルを持っているパパは多くはありません。かえってお互いストレスが高じて、先日ベビーマッサージに来てくださったパパは、産後うつを心配するほどにメンタルが弱っておられました。
短期でも、少し休んでリフレッシュして、笑顔になって、楽しんで子育てが出来る自分を取り戻せるように、もっと身近な存在として気軽に利用して頂きたいです。
贅沢だとか甘えだとか感じる人もおられますが、産後のママのサポート以上に大切な仕事ってある??赤ちゃんを産み自立まで育てる人が、健全で明朗で受容的であることは、50年後の社会を牽引する人間の仕上がりに即つながっているんですよ。
わたしは男性の長期育休を推進するよりも、産後ケアホテルを福利厚生とするほうが良い効果を生むように思っています。パパに24時間いて欲しいのは最初の一カ月、赤ちゃんのお世話以外の全ての家事をやってくれると有難いですが、一部のイクメンは見えるところばっかり持っていきますよね(^^;
夫婦としての最初の試練、喜びと不安と剥き出しの感情。ひとりの人間のいのちを預かり、成人まで保護するという尊い仕事を通して、どれだけ多くの学びを私たちは得るでしょうか。
この小さい人たちが、健やかに成長し、肯定感が育まれ、自己実現の道を歩んでゆくために、親になる若い人たちの心を守りたいと思います。
明朗愛和。
日本に住む全ての人が、豊かで幸せで朗らかでありますように。子どもたちが未来に希望を持ち、親は子たちの模範となる自分であれますように。