今日は海(まある)助産院で、看護学生の地域母子保健実習の教員のお仕事でした。
看護の学生なので、助産の定義も知らない方たちです。それでも、病院と助産院を比較して「こっちで産みたいです」との発言がありました。
助産の定義とは、以下のようなものです。
助産は、女性とその新生児のケアに対するアプローチであり、これを通じて助産師は以下を行う。
出産と生後早期の新生児の正常な生物的・心理的・社会的・文化的プロセスを最適化すること。
女性一人一人の状況と意見を尊重し、女性とのパートナーシップの中で活動すること。
女性が自らとその家族のためにケアを行う個人的能力を高めること。
女性一人一人のニーズを満たす全人的な(ホリスティックな)ケアを提供するため、必要に応じて他の助産師や他の医療専門職と協力すること。
病院勤務時代、この定義を満たすことがどうしても難しくてジレンマを感じていました。
正常な経過をたどる普通の健康な女性の妊娠、出産は、医療イベントではないことを助産課程で学びますが、病院出産は合併症のない女性に対してでも、医療が主体になりがちです。
まあるのママたちが書き残した感想を読んでいると涙が出そうになります。
女性たちは、こんな幸せで暖かい、自立した出産を経験できる力を持っているのに、なぜ医療に身を委ねて産ませてもらおうと考えるようになってしまうのか。
女性の本来持っている身体の機能の素晴らしさ。それを伝える責任を果たせずにいる、助産師側にも問題があったのではないでしょうか。
地域でのお産を扱う助産院を開業する助産師は、全体の中でも僅かです。勤務している方がずっと年収も高いですし、仕事に携わる時間は365日24時間の重労働。
お産で開業されている方に、「なぜ、仕事としてはハイリスクローリターンの地域のお産を続けてゆきたいと思われるのですか?」と以前聞いたことがあります。
自宅出産に携わる彼女は、むしろ驚いた顔で、「ローリターンはないですよ!こんなに沢山のリターンがある仕事は他にないですよ」と答えました。
それは、助産師自身の誇りでもあり、産む女性の成長や出産の喜びを間近で共有できること。人の生涯で最も大切な、自分が生まれる瞬間を、周囲から尊重され幸せな笑顔に囲まれた状況で迎えられる赤ちゃんを一人でも多く増やすこと。
病院出産では効率化に追われて見失ってしまう、助産の定義の基盤にある母子への愛や真心を尽くす姿勢が、助産院には自然にあることを、看護学生さんたちは感じ取ってくれました。
世界で一番大切なひとは、生まれたばかりの我が子を胸に抱いたお母さん。赤ちゃんの手術で母子入院されている女性を見て心を打たれ、看護師だったわたしは助産師になりたいと思ったのでした。
ママたちがいつも笑顔でいられるように、子どもたちに愛を注ぐことが出来るように。もっともっと、母親になった女性の心を満たし身体を健康にするケアが必要です。
今より数%でも、世の中が元気になるように。わたしも精一杯、自分に出来ることをやっていきます。一人よりも連携があった方がもっと沢山のことが出来るから、一緒に仕事が出来る仲間も増やしていきたいです^^
勤労歓喜!!
海(まある)助産院の宮川さん、ありがとうございました!女性の生き方の模範となるリーダーとして、ママたちにも、学生たちにも、わたしたち助産師仲間にも、よき影響を及ぼしてくださっていることに感謝します。