中高生のお子さんが、スマホやゲームにハマっていると心配ですね。
勉強しないので成績が悪い、夜遅くまでやっていて朝起きられない、遅刻の常習犯、課題が出せない、進級が危ない…
スマホさえ買ってやらなかったらこんなことにはならなかったのに!と親も混乱してしまいがち。
でも、厳しい制限をかけたり、スマホを取り上げたりするのは逆効果です。
そんなことは分かってる、それで素直に勉強を始めるはずがないこともわかっているけど、他に方法がないから仕方がない…と思い込んでおられませんか?
今日は、その解決についてご一緒に考えてみましょう。
ルールを作る前にしておくこと
子どもにとって、スマホ利用のルール(要は制限)を守ることはものすごく難しいことです。
スマホってドラえもんの秘密道具みたいです。
ポケットに入れて持ち歩けて、どこででも瞬時に欲しい情報を引っ張ってきてくれるし、外国語のページも翻訳して読ませてくれる、パーソナルな魔法使いです。
大人よりずっと未熟者で、目の前にある楽しいことに食いついてハマってしまう子どもたちに、自分だけのジーニーが、雲に乗って世界を旅しようぜって誘ったら?それを退けるのにどれだけ強い意志が必要かは想像に難くありません。
それを思えば、勉強量の確保や生活習慣を守ることなど、子どもにとっては全然面白くないものにシェアを譲らせることがいかに難しいかが腑に落ちます。
では、どうすれば良いのでしょうか?そもそもスマホを持たせないことが一番の解決策?
いいえ、今は部活の連絡もLINEグループで流れてきますし、友人と会話中に脳の一部のようにささっと情報検索することも普通のこと。重要なコミュニケーションツールであることは間違いありません。もうこれは必需品なのです。
この道具を、子ども自身がコントロールしながら上手く使う方法を考えてみましょう。
① 親の考えを押し付けない
まず、彼らの話を聞きましょう。スマホについて、我が子がどんな欲求を持っているのかを知ってください。次に、親が何を心配しているのかを明瞭に伝えます。親自身の気持ちを語りましょう。自尊心を傷つけないように気をつければ、彼らは素直な気持ちのまま話を聞ける状態でいられます。
このような場面で、親の理想や価値観を押し付けると、子どもは激しく抵抗し、お互いに深い傷を残します。
② スマホを理解する
メリットとデメリットを、お互いに自由に話し合ってみましょう。どう感じるかは自由、批判はNGです。もし子どもが反発したら、あなたはそう感じるんだね、と流します。
ここで闘っても益はありません。子どもに違う考えがあることを認めることも力が要りますが、解決のためには相手の考えを尊重することが大切です。譲るのではなく、違う考えがあることを受け入れるということです。
③ 他に楽しめることを見つけておく
スマホに依存する背景には、逃避したい環境や自己理解の不足があります。思春期の課題であるアイデンティティの確立が達成できない苦しみのなかで、自分の時間や考えを他者に丸投げすると楽になるのです。
時間を忘れるほど好きなことがあれば、スマホの動画よりも魅力を感じるはずです。出来ればバーチャルとは対極にある身体機能を使えるものが良いでしょう。スポーツが苦手でも、絵や音楽、フィールドワークなど楽しめるものは沢山あるはずです。この活動をはさむことで、スマホで疲れた脳が生き返ります。それなしでは学習意欲は戻らない可能性が高いのです。
ルールについて子どもと一緒に考えるのは、上記①から③をクリアしてからが得策です。
子どもは素直にルール作りを手伝うでしょうし、自分のためにその制限を受け入れます。
守っているかどうか見張らないといけないような状況では、親子が良い関係を保つことは難しいですし、ストレスが溜まる一方です。
この問題を一緒に解決することで、親も子どもも成長し、相互信頼を学ぶのです。
彼らの隠された思いが突破口になる!
息子が不登校だった時期、スマホ依存の様相を呈していました。
それを心配していると伝えると、彼は「俺が楽しくてやってると思ってるのか!」と珍しく真剣に言うのです。
なるほど、一日中PCやスマホにかじりつくというはたから見たら異様な行動は、将来への不安や自己否定から逃れたい彼を助けていたわけです。
何年も受験勉強をして合格をいただいた名門校で、スマホ依存から学業不振で退学してゆく子どもが少なくないと聞きました。
本当に勿体ない話ですが、彼らもまた、より厳しくなった授業や課題に心が折れてしまい、向上心や生きる意欲を失ってしまった結果であるのかも知れません。
スマホという逃げ場がなければ、親にとってもっと辛い選択をした可能性もあるわけです。
彼らには、それ以外の解決の方法も沢山あることに気付いてほしいですね。一歩踏み出すだけで世界は変わります。
その自己成長に、大きく影響するのは家庭での親との関係です。
だからこそ、この場面で、スマホのルールで追い詰められ拠り所を失うことは避けたいのです。
勉強しないのはスマホのせい?
昭和一桁生まれの私の父の時代は、囲碁が今のスマホ扱いだったようです。祖父から制限を受け、囲碁のせいで人生を誤るなと叱られたとか。
私の子ども時代はマンガでしょうか。毎日母に叱られていました。ところが、私は従姉妹から回ってくるせいでクラスの誰よりも沢山のマンガを読んでいたため、先生が驚くほどに未履修の漢字がすらすら読めました。
勉強しない息子にも、ネットで英語圏のゲーマーと渡り合うなかで身につけた英語だけは、模試で偏差値70になるという不可思議な現象が起こりました。
また、スーファミにハマっていた男子たちの多くは、理系の学力が高かった印象もあります。
夢中になれるものが与えてくれる学びや気付きは、学力のボーナスポイントになるような気がします。
今、囲碁や読書を制限する親は少ないでしょう。教科書にもマンガが載っているくらい、世間の価値観は変わりました。
スマホ問題が話題になると、多くの親御さんは勉強しないことが心配だと言われますが、20年後には「スマホなら良かったけど…」のようなとんでもない新手の敵が現れるのかも知れません。
多くの家庭で悩みの種になっているスマホ問題。
この解決のために制限のルールを作っては破られて喧嘩になる、それを終わりにしましょう。
価値観の対立を力で解決しようとすると、人間関係は簡単に壊れます。
自分の大切なものを力で奪い取る親を、子どもは敵視します。
嫌な相手の言葉には無条件に抵抗を感じるから、何気ない言葉にも反応して、子どもは暴れたり暴言を吐きたくなります。
親も人間ですからこの状況に深く傷つき、ますます親子関係はこじれてゆきます。
この問題もまた、良い人間関係を築くことで自然に解決に向かうことをお伝えしました。
向き合うことは簡単ではありませんが、その分お互いの学びも深いのです。
親業訓練では、この対応を全八回の最終回で学びます。
それまでに、聞き方、伝え方をしっかりと学び実践したのちに、最後に残る対立に取り組みます。
もしご興味があれば、プログラムをご覧ください。
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親業訓練協会(トマス・ゴードン博士のコミュニケーションプログラム)
公益社団法人京都府助産師会(助産師が提供する女性の全ステージへのアプローチ)