前回の記事(『出産時の呼吸法・練習する目的は?』)では、出産時の呼吸法や、練習について書きましたが、今回はその補足です。
前回、少し書きましたが近年の産婦人科・産院は呼吸法を教えないところが増えてきています。
なぜ、呼吸法を教えないのか?
今回はその理由と、出産への医療介入について、私が思うことを書きたいと思います。

きっと参考になると思います!
出産時の呼吸法を産婦人科・産院が教えない理由
産婦人科・産院が呼吸法を教えないことが多い理由は、大きくは2つあると思っています。
(1)忙しすぎて呼吸法を教える時間がない
(2)本来あるべき出産の優先順位が下がっている

(1)忙しすぎて呼吸法を教える時間がない
前回の記事で少し書いた通り、近年の産婦人科・産院は多忙です。
次から次へと業務をこなさないといけないため、呼吸法を教えたりといった「出産前の準備」のサポートが手薄になりがちです。
(2)本来あるべき出産の優先順位が下がっている
次に「本来あるべき出産」について。
本来あるべき出産とは、どんな出産でしょうか?
「いいお産」と言い換えることもできると思います。
私が好きな本『時代おくれのいいお産』から少し引用します。
いいお産とは安全性には十分配慮しながら、自然なお産の流れを壊さないように、必要のない医療介入を徹底的に避けることから始まる。
『時代おくれのいいお産』久靖男

しかし、近年の産婦人科・産院の多くは、こうした「いいお産」とは離れてしまっているのです。
つまり「本来あるべき出産」の優先順位が下がっているのです。
医療介入が増えている、こうした状況は医療介入の滝とも呼ばれます。
懸念されている「医療介入の滝」とは?
医療介入の滝とは、必要のない医療技術が簡単にルーティンワークとして、正常なお産に導入される状況を表した言葉です。
世界保健機関(WHO)も「出産にはより時間をかけ、医療介入をなるべく避けるべき」という発表をしています(詳しくはこちらの記事)。
出産の医療介入のメリットもある
誤解のないように書いておきますが、私は医療を否定しません。

全ての医療介入がダメ、一切の医療介入を避けるべき、といった意見には、むしろ私は反対です。
医療介入のメリットとして、例えば、帝王切開や分娩誘発剤の使用により、分娩停止や胎児仮死など、命に関わるリスクが低減されます。
これらの医療技術は、多胎妊娠や合併症があるなどのリスクが高いケースでは非常に重要な役割を果たします。
しかし、正常な妊婦が病人のように扱われたり、必要以上に医療介入があるのでは?ということ。
産婦人科・産院の生き残り策の変遷・現状
少子化もあり、産婦人科・産院は、生き残りのための経営戦略が必要です。
かつてはホテル仕様のアメニティやフレンチのコースのお祝い膳が流行したこともありました(産後の身体の生理的な変化を考えれば、メリットばかりではありません…)
現在は、無痛分娩の選択が出来るかどうかを価値として打ち出している施設が多くあります。
無痛分娩だと最大規模の医療介入が必要となり、保険点数が取れるという側面もあるのです。
医師や病院の都合に合わせた出産?
また、例えば帝王切開だと、医師の都合が手術日の決定に影響します。
分娩誘発剤や促進剤を使うと分娩時間がコントロールできて、計画的な出産が可能になるので、医師やスタッフのスケジュール管理もしやすくなります。
こうした状況も、本来あるべき出産、自然分娩の優先順位が下がっている理由の一つです。
そのために、無痛分娩を導入しない産院の出産数が減って経営が成り立たなくなる、というようなことも起こりうるのです。

出産への医療介入は、その後どのような影響を及ぼすでしょうか?
お産の長期的な影響(子どもの発達や母子の関係)
医療介入によって、子どものその後の心身の発達や、母子の関係に悪影響が出る心配があります。
再び、『時代おくれのいいお産』の内容を少し引用、抜粋します。
・無痛分娩の副作用として、お母さんの母性行動が悪い
・新生児の腸内フローラは母親の腸内フローラに一致していて、これは母子伝播によって母親から獲得している、と言われている。しかし、帝王切開では母子伝播は起こらない
『時代おくれのいいお産』久靖男
確かに、母乳育児を拒否されたり、
では、医療介入をなるべく避けるにはどうすれば良いのでしょうか?
医療介入をなるべく避けるには「自分で産む力」を
一言でいうと、医療介入をなるべく避けるには「自分で産む力」をつける、ということになると思います。
前回の記事でも少し触れた通り、医療のない大昔でも、多くの女性は安全に健康な赤ちゃんを産み、育ててきたのです。
本来、私たちが持っている「自分で産む力」があれば、医療介入を減らすことは可能なはずです。

自然分娩は赤ちゃんにもママにも優しいお産
陣痛の進行や分娩のプロセスが自然に進むことで、赤ちゃんは産道を通る際に肺を広げる準備が整い、出産後の呼吸がスムーズになります。
また、母親にとっても、分娩時の体験がより自分自身の力を感じられるものとなり、出産後の満足感や自己肯定感が高まるという報告があります。
つまり、自然分娩は、赤ちゃんにもママにも優しいお産になる、と言えます。
「自分で産む力」を付けましょう
自分で産む力を付ければ、
・不安や恐怖を軽減し、よりリラックスした出産に
・出産へのポジティブな姿勢を作れる
・医療介入を減らす効果

呼吸法はもちろん、瞑想や自己催眠などの出産前の準備によって「自分で産む力を信じる」ことができるようになります。
自然分娩に近づく方法「ヒプノバース」
自分で産む力を信じられるように。
そのための方法の一つとして、ヒプノバースという理論があります。
アメリカ人ヒプノセラピストのマリー.F.モンガンが開発したプログラムで「穏やかで優しいお産」がコンセプトです。
マリー.F. モンガンの言葉を引用すると、
あなたが出産への考え方を変えたなら、あなた自身の出産経験も変わるのです
マリー.F. モンガン(HypnoBirthing ®創始者)

※ヒプノバースについて詳しくはこちら↓
まとめ
今回は、産科が呼吸法を教えない理由と医療介入について、書いてみました。
まとめると、
産婦人科・産院が呼吸法を教えないことが多い理由は、大きくは2つ
(1)忙しすぎて呼吸法を教える時間がない
(2)本来あるべき出産の優先順位が下がっている
医療介入のメリットもあるものの、お産の長期的な影響も考えると「自分で産む力」を付けて、医療介入はなるべく避けたい
・自然分娩を目指しましょう
・自分で産む力を信じるための方法として、ヒプノバースもオススメ

あなたや、あなたの家族が「いいお産」を迎えられるよう心から願っております。