世の中には、いろんな仕事がありますが、一人の人間を自立するまで育てるという親の仕事は、何よりも価値があると言えるでしょう。
いわゆる子ども像はこんな感じでしょうか。
好きな遊びに夢中でとりくみ、毎日元気に学校に通い、友人と一緒に笑い刺激しあってすくすくと成長してゆく。
その当たり前の願いがこんなにも難しい時代がかつてあったでしょうか。
無垢で天真爛漫であることを武器にして、様々なチャレンジが許されるはずの子ども時代なのに、社会の歪みがうみだす劣等感や孤立感という心の闇は、自立を妨げる依存を引き起こします。
そして成人した後も、恋愛すれば恋愛関係で、子どもを産めば親子関係で、大切な人を苦しめるかたちで表面化する。ますますの非婚化と少子化が進むでしょう。
この悪循環を断ち切るための、魔法があります。
子どもの心が健康であるために、親だからこそより効果がある魔法のストロークは「聞く」。
あなたにも使えることが立証済み、その理由は以下のとおりです。
赤ちゃんが可愛い理由
わたしが新米ママだった頃、大先輩助産師からこんな言葉を頂きました。「1歳までは何もかも受け入れてやるんやで。こっちから、こうしたいとかこうさせたいとか思わなくていいんやで」
生後1年までを乳児期といいます。この時期の子どもは、まだ泣くことでしか欲求を伝えられないことを親である私たちは受け入れています。
赤ちゃんが泣く→おなかがすいたのかな?とおっぱいを飲ませる
赤ちゃんが泣く→暑いね!と掛け物や衣類をかえてあげる
赤ちゃんが泣く→おむつが気持ち悪かったね、と交換する
泣き方の違いや赤ちゃんの環境などを総合的に読み取って、赤ちゃんの気持ちを理解しようとする。
これはママの沢山の仕事のなかではささやかなものですが、非常に大切で象徴的な能力だと思うのです。
このように、ママは赤ちゃんに寄り添い助ける人です。まだ自力で出来ることが殆どない時期、赤ちゃんはママに完全に依存していてOKなのです。
この依存を「正当な依存」と呼びます。
まだまだ人として未熟すぎて、自分を自分で助けることが出来ないから、お世話をしてもらうのは当然のこと、という考え方です。
そのための神様からのプレゼントがあります。
赤ちゃんたちのお顔はまん丸の輪郭に黒目がちの大きなお目々。
お世話をする人の無償の愛をかきたてる可愛らしい容貌をしています。
人の成長のプログラムって素晴らしいですね。
ママは赤ちゃんの依存を健康的に受け止めて、欲求に応えるために非言語の記号を懸命に受け取ります。
言葉ではない、ほんものの気持ちに焦点をあてるコミュニケーションが出来ています。
言葉を使うようになっても、相互理解につながるコミュニケーションは、耳に聞こえる言語ではなく心の耳で心の声を聞き取ることで成立します。
誤解の始まりは聞く力不足
こうしたい、こうさせたいと思うのは、子どもを自分の思い通りにしたいという親の身勝手な願いです。
それが彼らの幸せの為、良かれと思う願いであっても。
子どもたちにとって、その制限や押し付けは大迷惑になることさえあります。
彼らのありのままを受け入れることが、赤ちゃん時代にはさほど難しくない理由は、彼らの欲求が疑いようもない正当な依存であったからでした。
でも、子どもたちは日々成長してゆき、正当な依存が必要な状況も刻々と変化してゆきます。
一歳半にもなれば、片言で自分の意思を伝えられるようになる子が増えてきます。
とたんにBabyはKidsになり、親の受容の度合いに変化が起こってきます。
彼らの言い分は、ともすれば自己中心的で我がままに聞こえます。
聞き続けることがとても難しくなり、彼らを親のルールに従わせるために一生懸命説得し、命令し、脅迫することが日常になってしまう…
これはどこの家庭でも起こっているいわゆる「しつけ」行動です。
でも、考えてみてください。
彼らはまだ生まれて数年、この世界のルールを知りません。
善悪の区別もつきませんし、物理的な法則もわからないのです。
他の星から来た宇宙人と同じです。
理解できないことに反抗したくなるのは当然です。
彼らが成長することを心から望むならば、まずは不安にさせないこと。
そして、ある程度の思考する力が育ったら、ルールがなぜ価値があるのかの理由を教えてあげます。
そして、そのルールを守っている姿を見せてあげてください。
彼ら自身がその理由を納得することによって、靴を揃えたり、お風呂を洗ったり、後片付けを丁寧にすることが簡単に出来るようになるのです。
まずは聞いてあげてください。
多くの親は、子どもを誤解してその力をディスカウントしています。
これは責める姿勢だけではなく、甘やかしも含まれます。
子どもを理解するために、聞くことを優先的に意識してみませんか?
親たちはとても忙しいので、聞く=無条件の肯定を伝えることを後回しにして忘れてしまいやすいのです。
心の耳で聞いてもらえることは、子どもが人として成長し自立してゆくための心の必須栄養素です。
ここに時間を割くことは仕事よりも家事よりも価値があるということが、子育ての常識になってゆくことを願っています。
私たちも子ども時代を経て、今の自分を生きています。
誰かをモデルにして、今の価値観や固定観念が出来上がりました。
子育ては、やり残した宿題に気付くためのチャンスです。
聞いてほしかった。謝ってほしかった。要らなかった。言えなかった。
あなたの中に、どんな欲求が残っていますか?
満たす力が大人になった今のあなたにはあるのです。
聞く力は、癒し勇気づける力です。
もちろん自分自身にも使うことが出来ますよ。
スキルをブラッシュアップされたい方、ご利用ください。
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